コニン

実は走り幅跳びが好きです♪

元気のない上司とその原因

朝いつものように会社に行った。会社に行くのは嫌だった。上司が嫌いだったので顔を合わせることすら嫌だった。なぜ嫌いなのかというのはお決まりの理由だった。とにかく口うるさい。人のアラを探してはネチネチ説教をするような上司だった。ネチネチ説教をするのが相手のためになると本気で思っているような人だ。そんな人間と喜んで会いたい人間などかなり物好きな人間に違いない。なのでその日もいつもと同じように億劫な気分で会社に行った。オフィスに入り作業をしていると、その上司が出社してきた。挨拶をするとなんだかいつもと様子が違う。不機嫌そうなのはいつも通りだ。機嫌が良さそうにしている姿など見たことはない。しかし、どこか様子が違う。なんだか悲しそうな顔をしているのだ。

 そして、普段と同じように仕事をしていると、上司が話しかけてきた。深刻そうな顔をしているので何事かと思った。いつもと同じようにネチネチ説教される様子ではなかった。話を聞くとどうやら奥さんに離婚したいと要求されているそうだ。その時は正直何も思わなかった。そうなんだと単純に思った。聞いてもいないのに理由を話し出した。どうやらネチネチ文句を言われることに耐えられないということらしい。私は正直心底驚いた。この男は自分の家でもそんなことをしているのか。そのことに正直心底驚いた。いや、驚いたというよりかは完全に引いてしまっていた。おそらくその時の私の表情は心底引いた顔をしていたと思う。

 いったいこの男は何を考えて、何がしたいのか完全に分からなかった。そんなことをすれば人間関係がうまくいかないのは当然ではないか。そんな人間と会いたいと思う人間はいない。それは会社でも家庭でもきっといない。やはりこの男は自分がネチネチ説教することが本当に相手のためになると思っているのだろう。いやそう思わないとやってられないのだと思う。この男は自分のしているくだらない言動が、自分の自尊心を満たすためだとは解らないのだろう。そしてそのことに気づくことも一生ないのだろう。